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2024/04/27 18:29 |
発作

080702_1254~0001.jpg




















平日の昼、買い物を兼ねて
カルフールのフードコートへ向かった。

店内を見渡し、なんとなくファーストキッチンを選び
ベーコンエッグダブルチーズ(?だったかな?)の
卵グリルをオーダー。
(○○抜きみたいな特別なオーダーを、グリルオーダーという)

ドリンクを先にいただきながら、ぼんやりと待つ。

ん。そういえば平日で比較的すいているフードコートで、
この店だけが写真のように行列に。

なんでだろ。

確かに、ケンタよりはメニューの選択肢が多い。
隣のうどん屋だけではちょっと足りない。
逆隣のケバブでもいいけど、その後にデザートが食べたい。
すき屋は飽きた。
ラーメンは塩分が心配。
たこ焼きはビールが飲みたくなるからだめ。

しかもこのファーストキッチンのカウンターサービスは
待たせている割にいやな感じがしない。
アルバイトと思われる若干年配の女性も、
社員と思われる30代半ばくらいの女性も、
なんていうか、はんなりまったり、
マクドナルド的なセカセカ感はみじんもなく、
どきっとするような笑顔で接客中。

かつ、時折厨房から漏れてくる音や気配からは
次々はいるオーダーを必死にさばいている様子がわかるし、
ダクト周辺は磨かれていて、
作業台上もきれい。

そうこうしているうちに、番号が呼ばれて
私のハンバーガーができた。

待たせたことを申し訳なさそうに謝る店員さんに
いえいえいんですよ~なんていいながら受け取ると
そばには自由につかっていい調味料のカウンターがあり、
マヨネーズを思い切りかけ、
席に戻ってできたてをほおばる。

・・おいしい!

このバーガーの卵グリルは、昔マックで期間限定でやった
トリプルマックに似ていて、とてもおいしいのである。


あれ。そういや。
私はいったいなぜ、こんな場所に座っているんだろう。

この広いフードコートの中、
わざわざ混んでいる店のカウンターのまん前、
人通りも多く、並んでいる人がすぐ近くまできて
騒がしく、落ち着かない、
なぜこんな場所を。

店員さんの声や、待つ人の声、
厨房の音まで聞こえ、
ダクト口やプロモ用の垂れ幕や電球まで見渡せ
揚げたてのポテトのむせるような香りが届くこの場所を。

ここは本部のマネージャーが
店舗チェックのために座る場所じゃないか。


何気なくこんな場所を選んでいる自分に気づきながら
ジューシーな出来立てバーガーをもうひとくち、ほおばると
あの店員さんが「ありがとうございました」という声がきこえた。


ごぼごぼ。

あ、また発作だ。

私は過去にサービス業の現場に長くいたから、
この感覚は時々くる。

とても居心地のよいホスピタリティあふれるサービスを受けたとき、
改善の余地があるサービスを目の当たりにしたとき、
手入れの行き届いていない場所を見つけたとき、

新人アルバイトがぎこちなくも一生懸命やっていることがわかったとき、

失敗して厨房の隅で怒られているスタッフがみえてしまったとき、

それから今日みたいに、何気なくそこにいる自分に気づいてしまったとき。


体の奥から、ごぼごぼと発作が沸き起こる。

泣きたいのか?
いや、たぶん違う。
でも、なんだか涙の波がくるのだ。
ごぼごぼと沸いてくるのだ。


よく、雑誌や何かで
「人に感謝されたい」「ありがとうといわれたい」
なんて言っている人がいて、
ああ、私もそうかもしれない、と思っていた。

今日も、だからまた戻りたくなったんだろうと
勝手に思っていた。

そのとき、またあの店員さんの

「ありがとうございました」
「いらっしゃいませー」

という声がきこえ、やわらかい笑顔が見え、


ごぼごぼごぼごぼ。

また発作だ。でもいつもとちょっと違う。

きちんとした身なり。
優しい笑顔。
よく通る丸い声。

あの場所へ。


違う。
「ありがとう」と言われたいんじゃなくて、

私が言いたいんだ。
「ありがとう」って、私が。


頭のなかが、ぎゅんと戻って
あの日々へ。
語りつくせない、いろんなことを経験したあのときへ。。。

戻りたい衝動と、発作の苦しさで
早々にドリンクを飲み干し、席を立った。

+++

いまが、戻るときなのか
それはわからないし、
こうして発作が収まり、家に帰ってくると
もう少し先でもいいんじゃないかと思う。

だけどあの発作の苦しさには
何か理由があるんじゃないかと思う。

今日は大きな発作だった。
たぶん、あんな席を選んでしまったからだろう。
でも無意識に選んでしまった。

何かを思い出し、そして現実を知るために。

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2008/07/02 15:56 | Comments(1) | TrackBack() | Chiba Life

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コメント

『ありがとう』と私が言いたい……。
ボクも『ありがとうございました』と心から言えるお客様達に囲まれていた日々を想いだして、読んでいて切なくなってしまいました。
kekopoohさんの発作を治める方法は、ご自分で分かってらっしゃるんじゃないでしょうか。
突然お邪魔して勝手なことを……、どうかご容赦ください。
posted by ひろ at 2008/07/04 18:33 [ コメントを修正する ]

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